オフショア開発において、今一番おすすめされるのがベトナムの会社ではないでしょうか。ベトナムは、急速に成長する経済と安定した政治状況を持つアジアの国として知られています。この国は、多くの企業がオフショア開発の拠点として選ぶ理由となる多くの利点を持っています。この記事ではオフショア開発でベトナムが選ばれる理由を8つの視点から解説します。ベトナムのオフショア開発市場の現状ベトナムのオフショア開発市場は、ハノイを中心に近年急速に成長しています。以下はその主な理由と特徴です。コスト効率ベトナムは比較的低い労働コストを持っており、多くの企業がコストを削減するためにベトナムを選んでいます。技術者の質ベトナムのエンジニアは高い技術力を持っており、特にソフトウェア開発の分野での実績があります。言語英語の教育が強化されており、多くのエンジニアが英語を話すことができます。これにより、国際的なプロジェクトでのコミュニケーションがスムーズに行われています。時間帯ベトナムは日本との時差が少ないため、リアルタイムでのコミュニケーションが容易です。政府の支援ベトナム政府はIT産業の成長を支援するためのさまざまな施策を実施しています。これらの理由から、多くの日本企業がベトナムでのオフショア開発を選択しています。しかし、文化やビジネス習慣の違いに注意が必要です。適切なパートナーシップを築くことで、成功を収めることができるでしょう。オフショア開発の現状とベトナムがトップ人気の理由企業は、コスト削減、技術的な専門知識の獲得、時間帯の差異を利用した24時間の作業など、さまざまな理由からオフショア開発を選択しています。特に、スタートアップから大手企業まで、開発プロジェクトのスピードアップや専門的なスキルセットを持つ開発者へのアクセスのために、オフショア開発の利用が増加しています。ベトナムの位置づけ・人気の背景アジア地域におけるオフショア開発の中心地として、インドやフィリピンが長らく注目されてきました。しかし、近年、ベトナムがオフショア開発の新たなハブとして急速に台頭してきました。ベトナムの主な魅力としては、以下の点が挙げられます。若くて技術力の高い労働力ベトナムの平均年齢は若く、多くの若者がIT関連の学位を取得しています。これにより、高い技術力を持つ開発者が豊富に存在しています。コスト効果ベトナムの人件費は、他のアジア諸国に比べても非常に競争力があります。これにより、高品質ながらもコスト効果の高い開発が可能となっています。政府の支援ベトナム政府は、IT産業の成長を強力に支援しており、多くのITパークやインキュベーションセンターが設立されています。文化的な近さベトナムは、日本との文化的な共通点が多く、ビジネスの際のコミュニケーションがスムーズに行えるという利点もあります。これらの要因により、ベトナムはオフショア開発の新たな選択肢として、多くの企業にとって魅力的な地域となっています。オフショア開発でベトナムがなぜ選ばれるのか最近では、ベトナムが日本企業によるオフショア開発における業務委託先として大きな人気を集めています。オフショア開発とは、海外の国・地域の企業や法人に対してシステム・ソフトウェアの開発業務を委託することです。日本では、拡大を続けるIT需要に対して国内のIT人材が不足しており、その課題解決の手段としてオフショア開発を積極的に活用する動きが目立っています。その中でもベトナムは、オフショア開発に特に適した国・地域として位置付けられているのです。以下にベトナムオフショア開発が選ばれる理由をご紹介します。ベトナムを選ぶ根拠1:単価が安いオフショア開発でベトナムを選ぶ根拠として、まず単価の安さが挙げられます。そもそもオフショア開発では、コストの削減を目的に人件費の安い海外の国・地域に対して業務委託を行います。そのため、日本よりも人件費を抑えられるのが通常です。とりわけベトナムの人件費は、日本の2分の1から3分の1程度といわれています。そのため、日本で同程度の能力を持ったエンジニアを採用する場合と比べて、ベトナムでのオフショア開発では人件費を大きく抑えることが可能で、システム・ソフトウェア開発にかかる費用の効果的な削減が見込まれます。なお、日本企業がオフショア開発の業務委託先とする国の1つに中国も挙げられますが、近年の経済発展を受けて人件費が日本と同程度(場合によっては日本以上)まで上昇しているとする意見もあります。以上のことから、今後オフショア開発の活用を検討していくうえでコスト削減のメリットに注目している場合には、ベトナムが業務委託先として適しているといえます。ベトナムを選ぶ根拠2:IT人材が豊富人件費が安いだけでなくIT人材が豊富にいることも、オフショア開発でベトナムを選ぶべき根拠の1つとされています。この主な要因は、ベトナムが国策としてIT人材の輩出を掲げている点にあります。具体的にいうと、ベトナムでは政府がICT教育を推進しており、2030年にはITエンジニアを含めた150万人のIT人材輩出を目指しています。また、STEM教育と呼ばれる科学・技術・工学・数学に注力した教育を進めており、中学生2年生からコーディング・IT科目の学習が始まります。そのため、ベトナムでは理系大学出身の若いIT人材を多く抱えているのです。そのうえ、ベトナム人はもともと向上心が高く、日本よりも転職に対するハードルが低いため、社会人になってからもスキルアップのために勉強を続ける人が多くいます。さらに、ベトナム人エンジニアの中では主として「JavaScript」「Java」「PHP」「python」などのプログラミング言語に人気が集まっており、世界的なエンジニア需要と一致しています。以上のことから、ベトナムでは若くて優秀かつ需要の高いIT人材が多く存在するために、オフショア開発の業務委託先として日本企業から大きく注目されているのです。以下の記事でベトナムのIT事情を解説しており、ご一読いただければ、人材の魅力をより理解していただけます。ベトナムのIT事情を徹底解説!人材の魅力、得意分野、国策ベトナムを選ぶ根拠3:日本語教育が盛んベトナムは東南アジアの中でも特に親日国であり、経済・政府間ともに友好関係が良好とされています。昨今は、日本との経済交流・文化交流・人的往来などの拡大を背景に、日本への就職機会が増えているうえに、日系企業が他の企業よりも良い条件・待遇で求職しているケースも増えており、就職・転職を念頭に日本語を勉強する人が増加している状況です。実際に、2018年度の海外日本語教育機関調査速報値によると、ベトナムにおける日本語学習者の人口は約17万5,000人で世界6位です。また、前回2015年度調査からの日本語学習者数の増加数は世界1位であり、すべての教育段階で急速に学習者数が拡大している状況です。また、日本学生支援機構の調査によると、2021年5月1日時点で日本国内には留学生が24万2,444人いますが、このうちベトナム人留学生は49,469人です。日本国内のベトナム人留学生数は国・地域別で2番目に多い数であり、全体の20%の割合を占めています。以上のとおり、ベトナムでは日本語教育が非常に盛んであり、エンジニアと日本語で快適にコミュニケーションを取れることが期待できる点も、オフショア開発の業務委託先として人気を集めている理由の1つとされています。参考:国際交流基金(ジャパンファウンデーション)「2018年度 海外日本語教育機関調査」 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果」令和4年3月ベトナムを選ぶ根拠4:地理的な近さオフショア開発でベトナムが選ばれる根拠の4つ目に、地理的な近さが挙げられます。日本とベトナムにおける時差はわずか2時間であり、時差によるタイムロスを最小限に抑えることが可能です。これに対して、同じく日本企業がオフショア開発の業務委託先とするインドでは3時間30分の時差があります。オフショア開発先が遠い場合、大きな時差が生まれるため、Webミーティングを行うだけでも大きな労力がかかりやすいです。その点、ベトナムは時差の影響が少ないため、オフショア開発のしやすさを感じやすいでしょう。また、直行便であれば、ベトナムへの飛行時間は4~5時間程度とわずかです。そのため、ベトナムでのオフショア開発では、スムーズなプロジェクト進行に欠かせないスピーディな対応を実現できます。以下記事で時差2時間をわかりやすく確認するための表や日本の出発地ごとの飛行時間をまとめていますので、ご参考ください。ベトナムの時差は2時間!ビジネスアワーや飛行時間など時間一覧ベトナムを選ぶ根拠5:営業日数が多いベトナムでは祝祭日が日本よりも少なく、営業日数が長いです。そのため、日本と比べて開発日数を多く確保できます。2022年の祝祭日を例に挙げると、日本では16日間ある一方で、ベトナムではテト(旧正月)を入れても10日間しかなく、6日間もの差があります。ベトナムを選ぶ根拠6:地政学、政変リスクの低さ最近では、地政学・政変リスクの低さを理由にオフショア開発でベトナムを選ぶ日本企業も増えています。2022年2月以降、東欧の主要な開発拠点の1つであるウクライナにロシアが軍事侵攻したことで、事業の継続性が心配される事態が発生しています。実際に、ウクライナでシステム・ソフトウェア開発を手掛ける日本企業の中には、事業を縮小したり、開発チームを国外に避難させたりしながら開発を継続している企業もあります。そのほか、ミャンマーでは2021年2月に国軍によるクーデターが発生したことで、民主化の動きが武力弾圧で妨げられており、政治情勢が不安定になっています。上記の国々に対して、ベトナムは地政学および政変リスクが比較的低いです。民主化という点では課題が残されているものの、政治システム自体は非常に安定しているため、ウクライナやミャンマーなどのような政変リスクは低いとされています。そのため、開発拠点として捉えた場合、ベトナムは地政学的および政変リスクが他の新興国と比べて低い点に強みがあることから、日本企業から業務委託先として大きく注目されているのです。ベトナムを選ぶ根拠7:安定したインフラ環境ベトナムは、道路・港湾・治水・情報通信のインフラ整備に非常に注力している国です。光回線が普及しているため、回線速度は比較的安定しており、レストランやカフェなどでWi-Fiを無料で利用できます。2021年時点におけるインターネット普及率は77.4%にのぼっており、ビジネスに必要不可欠なインフラ環境が整っている状況です。こうしたインフラ環境面で優れている点も、オフショア開発でベトナムを選ぶ根拠の1つとされています。参考:Internet World Status「ASIA INTERNET USE, POPULATION STATISTICS DATAAND FACEBOOK DATA - MID-YEAR 2021」ベトナムを選ぶ根拠8:マーケットとしての魅力が高いベトナムは、マーケット開拓先としての魅力度が高い国でもあります。およそ9,730万人(2020年時点)の人口を抱えているほか、毎年5〜6%ほどの安定したGDP成長率を記録しています。また、1人あたりのGDPは約2,700ドル(2020年時点)を超えており、富裕層・中間層が増大しています。これに伴い、さまざまな国の企業がベトナムをマーケットと捉えて参入し、内需を取り込んで収益の向上を図っている状況です。以上の背景から、オフショア開発の拠点をベトナムに構えることで、開発だけでなくベトナムの現地情報の収集も行えます。そこから発展して、自社の開発に慣れ親しんだエンジニアとともに成果物のベトナム語版を制作したり、ベトナム向けにローカライズしたうえで現地マーケットにおいてテストをしたりすることも可能です。このように、開発面に留まらないメリットが生じる可能性がある点も、オフショア開発でベトナムを選ぶ理由の1つとされています。ベトナムオフショア開発を選ぶ際の注意点最後に、ベトナムでのオフショア開発を効果的に進める際の注意点として3つをピックアップし、順番に解説します。品質基準を事前に共有しておく日本とベトナムでは、品質に対する意識に差異が見られることがあります。そのため、オフショア開発の制作物に関して、完成品として判断する基準に差異が生じるケースがあるのです。ここで大切なのは、プロジェクト開始前の段階でベトナムのエンジニアと品質の基準について十分に話し合い、意識を統一しておくことです。前述のとおり、ベトナム人は向上心が強く、真面目で熱意のある人が多いことから、基準を事前に共有しておくことで制作物の仕上がりに関するトラブルの回避につなげられます。ミスコミュニケーションの発生を防ぐベトナムは親日国であり、日本語学習者を多く抱えています。とはいえ、オフショア開発において、ベトナムのエンジニアが日本語の微妙なニュアンスを理解できない可能性もゼロではありません。ベトナムでのオフショア開発に限らず、母国語以外でやり取りする場合は、誤解が生じやすくなるのは自然なことです。そのため、エンジニアに委託側の意図が完全に伝わっていると安易に判断せずに、コミュニケーションを綿密に取ることを意識しましょう。とりわけ重要な項目に関しては、入念に確認を行うことが望ましいです。文化の違いに配慮するこれはオフショア開発の場面に限りませんが、海外の国の人とビジネスを進めていく際は、文化の違いに十分に配慮しなければなりません。「日本の常識が、必ずしも世界の常識と合致するとは限らない」ことを、念頭に置いておくことが大切です。具体例を挙げると、ベトナムには家族・友人と過ごす時間を非常に重要視する文化があります。そのため、オフショア開発を進めるにあたって、日本人とベトナム人の間で、働き方・仕事に対する考え方が異なっている場合があります。こうした場合に、ベトナム人に対して日本の常識に適合させることを強いるのは好ましくありません。お互いの文化を理解して歩み寄り、委託側・受託側の双方にとって最良の方法を模索すると良いでしょう。また文化の一部として、働き方もかなり違います。これは特に若い世代に顕著で、20代のエンジニアは働く時間や場所に制限されることを嫌います。成果の見える化を進め、それらに囚われず、成果によって評価する仕組みを構築することが大切になります。ベトナムオフショア開発の課題と対策ベトナムでのオフショア開発には多くの魅力がありますが、同時にいくつかの課題も存在します。以下は、その主な課題とそれを乗り越えるための対策についての解説です。デメリットを把握し、対策することでベトナムオフショア開発を成功に導くことができます。1. 言語と文化の障壁課題:ベトナムと日本の間には、言語や文化の違いが存在します。これにより、コミュニケーションの障壁や誤解が生じる可能性があります。対策:通訳や翻訳者を活用することで、言語の障壁を低減することができます。また、文化交流のイベントやワークショップを定期的に開催することで、相互の文化理解を深めることが可能です。2. 技術的なスキルのばらつき課題:ベトナムには多くのIT開発者がいますが、その技術レベルや専門知識にはばらつきが存在します。対策:採用時の技術面接やテストを徹底的に行い、適切なスキルセットを持つ開発者を選定することが重要です。また、継続的な教育やトレーニングを提供することで、技術力の向上を図ることができます。3. 時差や作業時間の調整課題:ベトナムと日本の間には、少ないながらも時差が存在します。これにより、リアルタイムのコミュニケーションや作業の調整が難しくなる場合があります。対策:事前に作業スケジュールやミーティングの時間を調整し、双方の作業時間を最大限に活用することが求められます。また、非同期のコミュニケーションツールを活用することで、スムーズな情報共有を実現できます。4. 品質管理の確立課題:オフショア開発では、品質のばらつきや期待値のギャップが生じることがあります。対策:品質基準やガイドラインを明確に設定し、定期的なレビューやフィードバックを行うことで、品質の一貫性を保つことができます。これらの課題と対策を理解し、適切なアクションを取ることで、ベトナムでのオフショア開発をより効果的に進めることができます。ベトナムオフショア開発成功のための具体的なステップベトナムでのオフショア開発を成功させるための具体的なステップは以下の通りです。市場調査ベトナムのオフショア開発業界の現状を理解するための調査を行い、適切なパートナー企業や地域を選定します。明確な目標設定プロジェクトの目的や期待する成果を明確に定義します。これにより、ベトナムの開発チームとのコミュニケーションがスムーズに行われます。適切なパートナー選定信頼性や実績、技術力などを基に、適切なベトナムの開発パートナーを選定します。コミュニケーションの確立プロジェクトの進行状況や課題を定期的に共有するためのコミュニケーション手段を確立します。例えば、週次のミーティングや報告書の提出など。文化やビジネス習慣の理解ベトナムの文化やビジネス習慣を理解し、それに基づいてコミュニケーションを行うことで、誤解やトラブルを防ぐことができます。品質管理プロジェクトの品質を確保するための品質管理プロセスを確立します。例えば、コードレビューやテストプロセスなど。リスク管理プロジェクトのリスクを事前に特定し、それに対する対策を計画します。例えば、技術的な課題やコミュニケーションの障壁など。継続的なフィードバックプロジェクトの進行状況や成果に対して、継続的にフィードバックを提供し、必要に応じて方針を調整します。トレーニングベトナムの開発チームのスキルや知識を向上させるためのトレーニングを提供します。プロジェクトの評価プロジェクトの終了後、その成果や課題を評価し、次回のプロジェクトに活かします。これらのステップを適切に実施することで、ベトナムでのオフショア開発を成功させることができます。まとめベトナムは、オフショア開発の新たなハブとして急速に注目を集めています。低コストでありながら高品質な開発リソース、若くて技術力の高い労働力、そして日本との文化的な近さなど、多くの魅力がこの国には存在します。しかし、成功を収めるためには、言語や文化の障壁、技術的なスキルのばらつき、時差や作業時間の調整など、いくつかの課題を乗り越える必要があります。これらの課題を理解し、適切な対策を講じることで、ベトナムでのオフショア開発をより効果的に進めることができます。特に、明確なコミュニケーションの確立や品質管理の徹底は、プロジェクトの成功にとって不可欠です。今後、ベトナムのIT産業はさらに成長を続けることが予想されます。この機会を最大限に活用し、ベトナムとの協力関係を深化させることで、グローバルな競争力を高めることができるでしょう。