昨今、ラボ型開発の委託先として、ベトナムに大きな注目が集まっています。この記事では、ベトナムでのラボ型開発がなぜ注目されているのか、その理由と成功するためのポイントを詳しく解説します。ベトナムの豊富なIT人材リソース、コスト効率の良さ、そして独特のビジネス環境を活かして、効果的なラボ型開発を進めるためのヒントをお伝えします。ラボ型開発とはラボ型開発とは、オフショア開発(海外の企業・法人にシステム・ソフトウェアの開発業務を委託する手法)の一種で、一定期間にわたって専属のエンジニアチームを確保し、委託元の指示のもとで開発を行うスタイルのこことをいいます。ラボ型開発について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。ラボ型開発とは?メリット・デメリット、請負型との違い、注意点を解説ラボ型開発では、特定の業務に対して報酬が発生する準委任契約として、一般的に3カ月〜1年ほどの期間を設定し、契約(ラボ契約)を締結します。ラボ契約については、以下の記事で準委任契約も含めて解説しておりますので、ラボ型開発を検討されている方はぜひご一読ください。ラボ契約(ラボ型開発)とは?請負契約との違い、メリット・デメリットラボ型開発について確認した上で、日本企業がベトナムでラボ型開発をする理由の中から代表的な3つをピックアップし、順番に解説します。日本の企業が、ベトナムでラボ型開発を選ぶ理由日本の企業が、ベトナムでラボ型開発を選択する理由は多岐にわたりますが、以下に主な理由を挙げてみました。理由1:コストダウンが見込めるベトナムでラボ型開発をする理由の1つは、コストダウンが見込める点です。前提として、ラボ型開発では、コストの削減を目的に人件費の安い海外の国・地域に対して業務委託を行うことから、日本よりも人件費を抑えられるのが一般的です。特にベトナムの人件費は、日本の2分の1から3分の1程度とされています。そのため、ベトナムでラボ型開発をすると、日本で同程度の能力を持ったエンジニアを採用する場合と比べて、大幅なコストダウンが期待できます。freecracyのラボ型開発を活用すれば、ご要件にもよりますが、通常50%から70%のコストダウンが見込めます。特に案件規模が大きければ大きいほど、更に高いコストダウン率を実現できる可能性があります。理由2:優秀なエンジニアが多いベトナムは国策の1つとして「ITエンジニアの育成」を掲げている国で、2030年にはITエンジニアを含めた150万人のIT人材輩出を目指しています。ベトナム政府はSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を重点的に推進し、中学校からコーディング・IT科目が導入されています。ちなみに現在日本のエンジニアは120万人と言われていますので、今後ベトナムとのエンジニア数が逆転する可能性があります。OECDが2015年に各国・地域の科学的リテラシーを実施したPISA調査によると、全79カ国・地域のうち上位8位にランクインした実績があり、ベトナムは優秀なITエンジニアの多い国だといえます。近年、ベトナムでは大学でIT・テクノロジー系の学問を専攻し、エンジニアとして社会に出る人々が毎年約5万人レベルで増加しているとされており、エンジニア人口が着実に拡大している状況です。なお、エンジニアの間では、「Javascript」「java」「PHP」「Python」などが主要なプログラミング言語として利用されており、これらは世界的なエンジニアのニーズと合致しています。freecracyがラボ型開発にアサインするエンジニアは、優秀かつアクティブです。freecracyでは、アクティブなエンジニアと常に繋がり続けることで、必要な際にすぐに優秀なエンジニアをアサインできます。プロジェクト組成時は1ヶ月未満(通常)、そして現在稼働しているメンバーの生産性が低い場合にも、すぐにメンバー変更が無料で行えます。参考:文部科学省・国立教育政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」理由3:プロダクト開発経験が豊富そもそもベトナムは、日本企業によるオフショア開発における業務委託先として選ばれることが多く、プロダクトの開発経験が豊富にあるため、ラボ型開発においてもさまざまな開発要望に応えられます。freecracyでは、ベトナムにおけるプロジェクト遂行を全力でサポートしております。ラボ型開発で最も多く利用されるアジャイル・スクラム開発などの経験も豊富であり、初期のチームの組成時の開発体制・ルール設計・ツール選定なども自社の経験をもとに積極的にアドバイスさせていただきます。オフショア開発でベトナムがなぜ選ばれているのか、以下の記事で解説しています。ベトナムでラボ型開発をする理由とも関わってきますので、併せてご確認いただくと候補先選定がしやすくなります。オフショア開発でベトナムがなぜ選ばれているのか8つ根拠を挙げて解説日本の企業が、ラボ型開発でベトナムを選んで成功するポイント最後に、ラボ型開発でベトナムを選んで成功させるうえで留意しておくべきポイントの中から、代表的な4つをピックアップし、順番に解説します。役割を明確にするベトナムでも日本と同じように、暗黙のルールが通用するとは限りません。ベトナムでは、役割・職務内容・評価基準などを明確に設定しないと、「透明性がない組織」「プロフェッショナルではない会社」だと判断されやすいです。特にエンジニアの場合、どのプログラミング言語やどのような開発案件をやってみたいかなど、与えられる役割の悩み・希望に寄り添ってあげることも重要です。ブリッジSEと信頼関係を築くラボ型開発を成功させるには、開発元と委託先との間で信頼関係を構築することが大切です。開発元としては、委託先のエンジニアのなかでも特にブリッジSEと信頼関係を築くことが大切だと考えられています。ブリッジSEとは、ラボ型開発のプロジェクトをスムーズに進めるために橋渡し的な役割を持つシステムエンジニアのことです。海外にいる現地のエンジニアが担うこともあれば、国内のエンジニアがブリッジSEの役割を担うこともあります。ブリッジSEの主な役割は、開発元の要求を委託先に正確に伝えること、委託先の開発の進捗を管理することです。ベトナムと日本では言語・仕事の進め方・生活習慣などが異なるため、開発が進むにつれてさまざまな問題が表面化してきます。ブリッジSEには、こうした諸問題を解決する能力が備わっている必要があるのです。こうした役割を担うブリッジSEと信頼関係を築いておくことで、ラボ型開発のコスト・技術・開発期間などの最適化につながります。その他にブリッジSEとの関わり方で大切にすべきことを以下記事で解説しておりますので、ベトナムでのラボ型開発をより良く進めるために併せてご確認ください。ブリッジSEとは?仕事内容と成功するための関わり方を解説コミュニケーションを特に初期は綿密に取るラボ型開発のコスト・技術・開発期間などを最適化するうえでは、委託先との綿密なコミュニケーションも必要不可欠です。綿密なコミュニケーションは、委託先との信頼関係の構築にもつながる重要な施策です。ベトナムは親日国であり、多くの日本語学習者を抱えています。とはいえ、ラボ型開発に携わるベトナムのエンジニアが、日本語の微妙なニュアンスを理解できない可能性も考えられます。母国語以外でやり取りする場合、誤解が生じやすくなるのは自然なことです。ベトナムのエンジニアに委託側の意図が完全に伝わっていると安易に判断せず、綿密なコミュニケーションを心がけましょう。ベトナムのエンジニアの特徴を知っておくラボ型開発でベトナムを選んで成功させるには、現地のエンジニアの特徴を把握しておくことも大切です。ベトナム人のエンジニアに見られる主な特徴を以下にまとめました。「時間内に仕事を終わらせて帰る」というマインドが強く、時間内に終わらせようとするコミットメントが高い。ただし、頑張った結果、終わらなくても退勤するエンジニアが多い。時間には比較的ルーズ(一例:9時出社で9時に出勤し、朝食を食べながら準備を行い、実際に仕事を開始するのは9時15分から)意味のないルール・ミーティングに反発する傾向がある。「時間内に仕事を終わらせる」ことを阻害されるようなことを嫌い、それに特別な意味がないと彼らが感じる場合は、不満をこぼすことがある。明確な業務分担を好み、自分の業務分担以外は基本的には行わない(エンジニアが自分の業務以外に気づいても、「これは、私の仕事ではありません」という答えが返ってくることが多い)以上の点を踏まえて、ブリッジSEやプロジェクトマネージャーを配置し、ベトナムでのラボ型開発を進めていくことが大切です。ベトナムのラボ型開発の事例紹介ベトナムでのラボ型開発は、コスト効率と高い技術力が魅力です。その成功事例を紹介します。1. モバイルアプリ開発の成功事例ある日本のスタートアップ企業は、新しいモバイルアプリの開発を計画していましたが、日本国内の開発コストが高く、予算内での実現が難しい状況でした。そこで、ベトナムのラボ型開発チームと提携。結果、予算の半分以下のコストで、高品質なアプリをリリースすることができました。2. クラウドベースのシステム開発大手製造業の企業は、生産管理を効率化するためのクラウドベースのシステムを導入することを決定。ベトナムの開発チームと連携し、短期間でシステムを構築。これにより、生産効率が20%向上し、業績も大幅にアップしました。3. AI技術を活用したサービス開発ベトナムのエンジニアはAI技術にも精通しています。あるIT企業は、ユーザーの行動を分析し、パーソナライズされたコンテンツを提供するサービスを開発したかった。ベトナムのラボ型開発チームとの協力により、先進的なAI技術を取り入れたサービスを成功裏にローンチすることができました。ベトナムでのラボ型開発は、上記のような多くの成功事例を生み出しています。コスト効率の良さと、ベトナムのエンジニアの高い技術力が、多くの企業にとって大きな魅力となっています。今後もベトナムは、グローバルなIT開発の中心地としての地位をさらに強化していくことでしょう。まとめ昨今、日本企業によるラボ型開発の委託先として、ベトナムに大きな注目が集まっています。ベトナムでラボ型開発をすると、コストダウンが見込めるほか、プロダクト開発経験が豊富で優秀なエンジニアを確保しやすいといったメリットがあります。ただし、ラボ型開発でベトナムを選んで成功させるには、ベトナムのエンジニアの特徴を把握したうえで、与える役割を明確にし、ブリッジSEと信頼関係を築くことが大切です。ラボ型開発のコスト・技術・開発期間などを最適化するためにも、委託先との綿密なコミュニケーションを心がけましょう。